無心になること
盛岡市ピアノ教室「ミチコピアノアカデミー」
2025年5月6日のブログです。
ピアノの練習において必要な様々なことを、これまでも何度かこのブログに書いてきました。
ただ何となく弾くのではなく、よく考えたり、身体の感覚に敏感になって練習することは、進歩していくうえで大切なことです。
それらをかなえていくために、一番大事なのが「まず、無心になる」ということだと思います。
「無心になる」結果として、集中できる。集中できれば、練習に大切なことを思い出す。この順番です。
ピアノの練習をする時の心構えは、まず、「何も考えない」、ということです。
いやいや、色々なことに気を付けて練習すると言ったではないですか、色々考えながら練習するんでしたよね?と、突っ込みたくなりますよね。でも、気づいたんですが、無心になった時に思い出せないことは、そもそも気をつけることができないのです。過去にレッスンで言われたことだとしても、まだ自分の中にしっかりと入力されていない情報は、練習で出てこないわけです。
また、レッスンの時には理解できなかったことも、3年、5年と積み重ねていくうち、無心に練習しているある時、過去に教えてもらったことが、突然腑に落ちる、ということもあります。私など、まさに今がそんな感じです。
他のことを一切考えず練習をする、と決めて、無心に取り組み、そこではじめて「ああこうだったな」とか「おや、こうやってみたらどうだろう」などと、気づかされていくのです。
・・・なんでも検索すれば答えが出てくる時代(しかもAIが!)、Youtubeを開くだけで、どんな演奏も聴けて、ピアノでも何でも、我も我もと数えきれない人々が親切になんでも教えてくれる時代。
けれど。どんな時代になろうとも、一人の人間が、ピアノという楽器を習得し、音楽と向き合っていくためには、自分自身が実体験としての練習、演奏の経験を積む以外にないと思います。これだけのネット情報に囲まれていながら、いったんそれらを切り離して、無心になってピアノに向かう時間を確保し続けられることは、意識していかないと難しいことになりつつあるのかもしれません。
無心に練習に向かい、気づきの体験を積み重ねた人は、ピアノの面白さに目覚め、練習というものに対する感覚が変わっていくことでしょう。
せっかくピアノを習っているのに、練習のやる気だとか、できるできないで悩んでいる方がおられたら、「無心」になれていない可能性が高い、あるいは、無心になっていないのにいきなり「集中しよう」と、自分を仕向けようとしているかもしれません。
集中というのは、しようとするのではなく、結果としてそうなっていることだと思います。