ピアノ発表会
について


教室開講から長い間、毎年ホールにてコンサート形式の発表会を定期開催してまいりました。その頃は、こどもたちのコンクールへの参加も含め「ステージを目標にすることでやる気にもつながり、ステージを経て成長する」という考えだったと思います。そのため、積極的に取り組んでおりました。今感じる当時の反省点は、「ステージ演奏を成功させるため、曲の綿密な仕上げのレッスンに年間多くの時間を費やしてしまっていた」ということです。もちろん得るものも学びも大いにあったわけですが、私自身の演奏に対する考えも浅く、学びも浅かったと振り返っています。

現在は、生徒さま個々のご事情やお考え、年齢層も様々となり、何より私自身が本格的にスキルアップに取り組んできたことで、考え方も大きく変化しました。発表会については、在籍の生徒さまのお考え、ご事情も含め、講師の判断にて毎年開催の有無を決めております。開催する場合でも、強制的に参加させるということは決してございません。

発表会にしても、コンクールにしても、「ステージの日」に向けて取り組み、人前で演奏をすることは、良い経験になりますし、思い出にもなります。しかし、ひとつの曲を仕上げることだけに多くの時間とエネルギーを使ってしまうことで、お忙しい生徒さまなどは、年間のレッスンの教材がなかなか進まない(取り組む曲が少なくなる)、基礎にじっくりと取り組む余裕がなくなる場合もある、と、個人的には感じております。

発表会があってもなくても、それぞれにその状況の良さがあります。ご理解頂ければ幸いです。

生徒さまには、たとえまだ小さくても、ピアノと関わることそのもの、レッスンに来ることそのものがほんとうに楽しい、ワクワクする、ピアノを習えていること自体が「スペシャルで嬉しいこと」なんだ、と感じ続けてほしいといつも願っています。大人になっても同じです。いつでも、他ならぬ自分自身の楽しみとしてピアノとつきあい、より良い自分の演奏を目標にピアノライフを送れていれば、安定した進歩がかなっていくように思います。

レッスンを重ねて「ステージで弾いてみたい」という気持ちになり、それを伝えてくれる生徒さまには、発表会がない年度であっても、ステージの経験ができる場をご提案し、しっかりサポートさせて頂きます。

今の時代、様々な形で個人が自分を発信していける時代です。ストリートピアノなるものもありますが、演奏を披露できる場面は作っていける時代のような気もします。これからまた変化していくのかもしれません。せっかくピアノを習うのなら「そこにピアノがあればいつでも弾ける」「いつでも聴いてもらいたいと思える」テクニックと自信を育むお手伝いをしていけたらと思っております。