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洗練されたタッチ

盛岡市ピアノ教室「ミチコピアノアカデミー」

2023年2月7日のブログです。

弾く側の目線で話します。

上級以上になって、どれだけ達者に弾けたとしても、もっと柔らかい音を、とか、もっと深い音を、とか、もっとしっかりした打鍵で、とか、繊細な表現を、とか、コントラストをはっきり、とか、まだまだいろいろありますけれども、いくらでも演奏へのアドバイスは頂けるものですが、一言で言うと、、タッチがどれだけ洗練されているか、ということです。このことは、今こうして色々学んできてようやく腑に落ちていること。

漠然とした言い方のようですが、つまりは打鍵の基本がどれだけできているか、ということなので、ピアノ演奏の確信の部分だと思います。

洗練とは、磨きがかかった、という意味。じゃあ、タッチに磨きをかけるって?と、考えてみた時、言うまでもなく、一音をどう出すか、が、スタートです。

このことをどうとらえるかが本当に大事なのですね。

ピアノの学習って、早く音符を覚えて、早く教材を進んで、どんどん弾いて、もうこんなに弾ける、とか、もうこんなに進んだ、とか、小さいのに発表会でもうこんな曲を弾いた、とか、それを素晴らしいこと、みたいにとらえる傾向が、実際あるかないかわかりませんが、イメージとしては、あります。

実際私も、親から、あなたは5歳ですでにこれこれを弾けていたんだ、などというのを聞いたりすると、特に昔はそういう傾向が強かったのかなあ、と、感じます。

そのこと自体がいいとか悪いとかはないですが、学び方によっては、マイナス面もないとは言えないと思います。

わたしは、今の学び方にたどりつくまでは、楽器の発声、ということを、きちんと意識したことがありませんでした。正確に言うと、一応気をつけているつもり、ではあったというところでしょうか。しかし、今振り返ると、指をこうするとか、手首をこうするとか、色々教えられてきたけれども、肝心なところが抜けていたんだなあ、と、思います。細かい色々な指導は、それら一つ一つは、間違いではなかったとしても、核心の部分につながらなければ、本当の意味で使えるものにならない。

だから、自分はこういう弾き方をする、と決めたら、その弾き方について追及していくのは自然で当然のことだと思います。曲の練習をしながら、より洗練されたタッチを目指していくのが自然な学び方だと思います。鍵盤に触れるのは確かに指先ですが、指先に到達するまでの身体の状態が、ほとんどを決めるのだということも、取り組んでいくうちにわかっていきました。

指先を使おうとする前に、まずは指先を使える状態を作る、というか。

いわゆる重力奏法というものに、直接触れたとき、ああ、そうか、そもそも全然違うんだ、と、すぐにわかりました。それぐらい、これまでの人生で、重力奏法の演奏に触れる機会はなかったのだということです。

重力奏法は、まずは演奏が合理的に行えるということ、そして、多様な表現ができ、楽器の性質を最大限に引き出せる奏法であり、そもそも基本となる響きが柔らかく心地よく、聴いていて飽きない。そんな感じです。指弾きでどこまでも何でも弾ける人はものすごい才能だと思いますが、そういう人はそんなに多くはないのではないでしょうか。上級まで進んでいながら、気づけば、ピアノを弾くことをやめてしまう人が多いのも、実は、指弾きが大変だからではないのかなあ。

また、身体、特に手や指、腕などを不自然に酷使して傷める危険がほとんどない奏法だと思います。正しい、という言い方より、自然な使い方なのだと思います。

100%ではなくても、レベルがどうであっても、弾き方の方向性をどちらに向けていくかで、色々なことが違ってくるのは明らかでしょう。

ピアノをどうやって弾いたらわからない、と、まあまあのレベルの曲を弾きながら悩んでいる人がもしおられたら、弾き方そのものをどこか見直していくチャンスだと思います。私自身がそうでしたが、一応そこそこ弾けてはいるけれど、自分の演奏に疑問を持ったり、悩んだりするということは、伸びしろが大きい、ということだと思います。

タッチが少しずつ洗練されてくると、ペダルが濁らなくなってくるので、ピアノのために書かれた曲の表現の幅が広がり楽しくなっていきます。

あくまで当社比で、いつも今の状態を確認し、納得したり改善したりしていくのが、ピアノの勉強の楽しさです。

どんな奏法でも、一流の演奏家は洗練されたタッチが使えるから一流なのです。弾く以上は、より洗練されたタッチを手に入れていきたいですよね。

それぞれの「自分奏法」を進化させていきましょう!