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作り手の立場

盛岡市ピアノ教室「ミチコピアノアカデミー」

2024年4月7日のブログです。

音楽を聴く、という楽しみと、演奏する、という楽しみは、共通する部分もありますが、基本的に、違う立場、目線であるということを、理解できていると良いと思います。

なんとなく、「楽しい」とか「感動」とか、音楽に対して言いますが、それは、聴く側の感覚であって、作り手は、その感動を生み出すための「内側からの構築」を、プロセスを踏んで最終的に演奏にたどり着きます。最終的に曲と一体となるところまでいけると理想です。

もちろん「みんなで歌うと楽しいね」とか、そういうレベルの演奏の楽しさもありますが、ここでは、ある程度のレベル、クオリティーの演奏をする、ということで話をすすめます。

仕上がって演奏する段階ではなく、作り上げる各段階の楽しみを「なんて楽しい!」と感じられるようになると、どんどん楽しさが加速していきます。「練習を楽しめる」ということは、その必然性を「理解できている」ということです。

この「プロセス」に対する考えというか、理解がなく、いきなり「聴く時のような気持ちでピアノを弾く」というか、そうできる、と、思ってしまうと、後々、なんだか楽しくない、とか、なかなかうまくできない、とか、練習は大変、とか、そういうことにもつながってしまうかもしれません。(あくまで、かも、です。)

繰り返しますが、聴いて楽しむ側と、ゼロから自分の演奏を作り上げていく側の楽しみは、立場が違います。作るプロセスを知る楽しみ、実現していく楽しみ、このことをお伝えするのが、ピアノの先生の一つの重要な仕事だと思っています。

極端なことを言えば、たとえば私が、仕上がった演奏を生徒さんに聴かせて(今の時代なら動画で送って)このように弾くとだいたい良いですよ、などととしたとします。表面的には真似ができるかもしれません。別に悪いことではないけれど、もっと大事なことは、「曲になる前のプロセスの段階をよく見せる」、ということ。仕上がった演奏にプロセスを感じ取れるのは、その演奏以上の実力がある人だけです。

私が今のレッスンで自分が教えて頂いているのも、このことです。

もちろん、生徒さんのご要望に合わせますから、とりあえず弾ければいいので音だけ教えて下さい、と言われればそうしますが、そういう方は見たことがありません。

ピアノを習って、上手くなりたい!と考える、ということは、その方法を知りたい、プロセスを知りたい、と感じているのです。

精進してまいります。