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盛岡市ピアノ教室「ミチコピアノアカデミー」
2023年5月1日のブログです。
ピアノでも歌でも同じだな、と思うのですが、音が立ち上がるタイミングによって、演奏の印象、そして、表現の伝わり方が格段に違うものです。このことに気づくと、多声を扱うピアノ演奏の場合、自分の演奏の問題がどこにあるのかのヒントが、たくさん見つかる気がします。
弾いてるつもり、聴いてるつもり、ではなく、ちゃんとシビアに聴こえる耳を持たねばです。
音の強弱や、表情どうのこうの、以前に、そもそも演奏の中の、それぞれの音の母音(歌詞のない楽器演奏の場合は、母音にあたる響きの部分)が、どのタイミングになっているのかということ。
縦を揃えて弾いているつもりでも、そろっていなかったりというのは本当によくあることのように思います。これは、一見弾けている上級者の場合の話です。
ピアノにおいては、基本の打鍵のスピード、ということにも絡んでくるのかと思いますが、スピード、という言葉の示すイメージから、早く指が動くことを思い浮かべてしまったりもするので、この言葉は誤解がないようにしなければなりませんね。打鍵のスピードがある、とは、指がまわることではありません。
美しいメロディー、ハーモニーの作品は、とりあえず弾ければ、そこそこ気持ちよく、弾いたり聴いたりできるものだと思いますが、本来その作品にあるべき響きやハーモニーというのは、もっともっと奥が深いもの。また一方で、もっともっとシンプルなものだったりもするのかもしれません。素敵な音楽に感情が揺さぶられるのは自然なことかもしれませんが、表現する側が感情的になるのは、少し違う気がしています。
最近聴いて素晴らしいな、と思った古い演奏があるのですが、演奏が知的で、その作品の持つすごみのようなものがにじみ出ていて、こうありたいな、と、感じました。
練習を重ねていく中で、気づきが深まるというのは、何よりの喜びです。