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子どもの指導における目標

盛岡市ピアノ教室「ミチコピアノアカデミー」

2024年3月6日のブログです。

指導の立場から、ピアノを習ってくださる皆さんに対して思うことは、基本的にはまずは一つです。

「初級レベルの楽譜を、そう時間をかけずに自力で読んで演奏できること」

シンプルに、このことです。初見で完璧に、とまではいかずとも、楽譜をとらえて演奏に落とし込むことをなるべく短時間でできる、ということです。

どんなに易しく見える曲だとしても、これがほんとうにできるということは、学んだ成果と言えます。

音楽は、楽譜がなくても耳でとらえることができますので、「耳コピ」というものもできます。それができることは素晴らしい。その力も重要です。「耳コピ」に関しては、訓練もあるかもしれませんが、ピアノを習っていなくても弾ける方々でできる人が多いようにも感じますので「才能」的な部分も多いかもしれません。たとえそれができるとしても、楽譜を理解できるに越したことはありません。

初級のレベルならどんなものも自分で読み、良い技術で音楽的に弾ける力がついたら、これは、すごいことです。

初級、が、どの程度を指すかはあいまいですが、たとえば市販の初級用の楽譜を見渡しても、様々なアプローチのものがあります。鍵盤全体の使い方、両手の使い方、黒鍵の使い方、音楽的な内容も含めると、多種多様です。

同レベルの違うタイプの楽譜は、初歩の生徒さんにとって、すでに知っているはずの内容でも、すぐに理解して演奏できない、という場合もあります。

ピアノ演奏は、レベルが上がれば上がるほど、当然ながら、楽譜を読む、理解するための材料は多くなっていきます。音符の数だけではない様々なこともあります。初歩の段階で、自力での読譜に時間をかけることは、長い目で見た時、とても意味があることだと考えています。

また、初歩に時間をかけることは、テクニックの上でも「指を動かして弾く」という単純なことばかりを急がずに進めていくことができます。もちろん、人によりますが、ごく普通の子供さんの場合、じっくり初歩の教材に取り組むことは、大事だと思います。

「ある程度の曲を弾けるようになる」ということを先走り、実は楽譜の読み、ピアノの技術に無理があるという状況は、作りたくないと考えています。生徒さんが、自分の力で、その気になればいつでも「ある程度の曲」が弾ける土台作りを意識しています。

もちろん、ご本人の適性、努力によって、どんどん進むことは可能ですが、ごくごく一般的な人、お子さまの場合、時間をかけて、その後の人生において「できるだけ忘れてしまうことのないような」ピアノを弾くための基本をお伝えしていくことが仕事だと感じております。

手取り足取り教える必要は、正直、ある、と、感じています。

ごくごく普通のお子さまの場合、自分でしっかり譜を読んで、自分のペースで練習に向かえるまでにも、ある程度の時間がかかるものだと思います。練習というのは、意識の成長も伴っていなければできないことです。

幼児の段階で、毎日の練習を押し付ける必要はないと思います。幼児の時にちょっと上手だから、一生そうかどうかはわかりません。ピアノは苦しいものだというイメージを付けないことの方が大事だと思います。ありきたりですが、ほんの少しでも自分で練習できたことを認めてあげることが非常に重要かなと。これは、長く学んでいけるための心の土台作りと言ってもいいかもしれません。

ごくごく普通のお子さまが、2年3年とレッスンを継続して、成長を感じられる姿は、本当にありがたく嬉しく感じます。繰り返しになりますが、それらは、「本人がわかっていればよい」ことで、外に向かってアピールできることではありません。成長、と、一口に言っても、一人一人その意味するところはほんとうに違うものです。