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考えかたの違い

盛岡市ピアノ教室「ミチコピアノアカデミー」

2022年2月8日のブログです。

腑に落ちたことシリーズ になりますが、書き留めておこうと思います。

上手く言葉で表現できないかもしれませんが。

目標を持つのは良いことだと思います。特に、ピアノのように身に付けるのに長い期間を必要とするものに関しては、教えるにせよ、教わるにせよ、短期目標、長期目標、と、設定するのは自然なことだと思います。私も、そんな風にしてきました。

しかし、

「小さなゴール」をいつも目の前におくというのは、区切りの連続、になってしまいます。本来、区切りのないはずの学びであるものに、わかりやすく、たくさんの区切りをつけてしまうのは、なにかがずれていってしまう可能性があるように、突然思いました。結構深い話をさらっと書くので、適当に読み流してください。

そうした、外側に設定された小さなゴールにフォーカスしていくと、いつも、小さなゴールを目標に進むことになります。それは、教材の進度だったり、イベントでの演奏、またはコンクールでの成果だったりもするかもしれません。何回出たとか、何回どうしたとか。

それの何が良くないの、と、言われそうですが、今日言いたいのはそこです。

「大切なことはすべて過程にある」というとらえ方をして学んでいくと、大切なことが「小さなゴール」の達成ではなくなります。表面的にはわかりやすく区切りがあったとしても、フォーカスが常に「過程」であるため、乱暴に言ってしまえば、小さなゴールを無視して、走り続けていくような感覚で、学んでいくことになります。

実は、目の前の「小さなゴール」が邪魔をして、精神的に詰まってしまったり、「過程での学びが中断してしまう」ことも、実際あると感じます。こればかりは人により、場合によりますが。

小さなゴールが悪いわけではないけれど、設定しない方が良い場合も多々あると感じます。設定しないことで、のびのび進みながら、気づいたら上手くなっていたりします。この二年間の私自身がそうでしたし、生徒さんも、見ているとそんな感じです。基本的な弾き方の改善にいつも取り組んでいることが前提ですが。

人は、どんな歩み方をしても自由です。ただ、より良い演奏を知りたい、本当の意味で今より良くなりたい、と願うならば、「自分の願う、より良いもの」を、すでに手にしている先生にご指導願うほかはありません。これだけは絶対です。

ステージでしか学べないことはたくさんあります。でも今は、その話ではなくて。

過程の大切さ、過程で何をすべきか、ここに信念があると、はじめに設定した外側の小さな区切りゴールではなく、気づいたときにふと、「ああ、ここがひとつの通過点か」という感覚で、振り返るような感じになっていきます。小さなゴールが後ろに来るというか、通り過ぎて気づくというか。

これは、一人一人が本当の意味で、自分のペースで自己を肯定しながら学んでいける道だとも思うし、同時に、「良い方法で」真剣に取り組むことでしか、歩めない道だとも思います。

指導者の責任も、大きいです。

最近、こんな話ばかりになってしまいますけれども、指導する人間が考えを述べるというのは、大切なことだと思います。

この話は、ピアノに限った話ではないです。

そして・・・

ロシアピアニズムでは、音と音の間、に、フォーカスして、弾き方、聴き方、を学びますが、以前は「1個1個の音符そのもの」をゴールにして、そのゴールの連続を演奏にしようともがいていたなあと、思い出したりしています。正反対でした。